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生保決算の透明性を高める「基礎利益」

収益力が分かる

基礎利益は、生命保険会社の基礎的な期間収益の状況を示す指標として、2000年度の決算から開示されるようになりました。

一般事業会社でいう営業利益や銀行の業務収益に該当するもので、保険料収入や保険金・事業費支払いなどの保険関連費用の収支と、利息や配当金などを中心とした運用関係の収支で構成されています。

損益計算書には基礎利益という項目は存在せず、その算出は経常利益から有価証券などの「キャピタル損益」と「臨時損益」を控除することで行います。

生保業界は、久しく本業の儲けを示す指標が存在してこなかったため、生保決算の透明性に疑問が投げかけられており、それに応える形で開示が始まりました。

ただし、生保各社は当初、基礎利益の内訳にあたる生保の3つの収益源(死差益・費差益・利差益)は開示していませんでした。しかし、大手生保を中心とした保険金の未払い問題などで業界への不信感が高まったことを受け、まず明治安田生命保険が3利益の開示を行い、他社がそれに追随することになったのです。

大手の基礎利益を見てみると、2010年3月期は、日本生命が5050億円、明治安田生命が2914億円を計上しています。株価の回復や配当収入の減少などの影響もあり、各社で大きな差が出ています。儲けが少ないとされる銀行窓販に支えられているとの指摘もあり、今後の先行きは不透明な状況です。

保険の契約者に約束した利回り(予定利率)を実際の運用実績が下回る「逆ざや」も、この基礎利益に含まれます。逆ざや状態になると生保の経営体力が損なわれ、2000年代初めには業界全体の逆ざや総額が1兆円を超え、経営破たんする中堅生保もでました。

2012年3月期決算では、明治安田生命保険が20年ぶりに逆ざやを解消したのをはじめ、他の大手でも過去の高い予定利率の契約が減少し、運用収益も改善の兆しを見せるなど、ようやく逆ざや問題の解決に目処がたちました。